
「虫歯を放置するとどうなるの?」
「最近、歯が茶色いけど、これって虫歯なのかな?」
虫歯というとどちらかというと子供の頃に気にするイメージがありますが、実は大人であっても虫歯は注意しなければなりません。
それこそ虫歯を放置することで、取り返しのつかない状況になる恐れがあるためです。
結論から述べると、虫歯を放置することで最終的には天然の歯を失います。さらに進行すると骨髄苑の恐れにもつながります。
それほど虫歯は恐ろしいものなのです。また子供の虫歯を放置することで、皮膚炎などの多彩な症状が全身に広がるケースもあります。
今回の記事では、虫歯を放置した場合のデメリットを紹介し、そのうえで虫歯治療を早期に開始するために頭に入れておくポイントを紹介します。
あなたも虫歯については日頃から注意をして、いつまでも天然の歯を保てるようにしていきましょう。
また、お子さんに虫歯がある場合は一刻も早く歯医者で治療を受けさせてあげてください。
そもそも虫歯って何?
虫歯という単語はよく目にしますが、そもそもの原因がどこにあるかはあまり知られていません。
この点、虫歯の原因は虫歯菌という細菌の存在です。虫歯菌を含む口腔内の常在細菌の状態と割合は、3歳くらいまでの生活習慣や口腔内の環境により決まると言われています。
3歳までにの常在細菌のバランスのとれた口腔環境を手に入れることのできた人は大人になっても虫歯になりにくくなります。
一方でバランスの悪い状態の口腔環境を構築してしまった人は大人になっても虫歯に悩まされやすくなります。
ミュータンス菌が歯を破壊する
虫歯菌の中で最も代表的なのがミュータンス菌です。このミュータンス菌は糖を栄養分として取り込み、酸を分泌します。
そして、この酸が歯をどんどん溶かしていくのです。歯は表面にエナメル質があり、その下に象牙質があります。そして、さらに奥に神経があります。
ミュータンス菌が分泌する酸はエナメル質から溶かし、徐々に歯の奥まで破壊していきます。そして最終的には神経まで破壊するのです。
この状態まで虫歯を放置すると、非常に危険です。虫歯はなるべく早く治療に着手しなければなりません。
虫歯を放置した場合の恐怖のプロセス
虫歯の原因がわかったところで、続いては虫歯を放置した際のプロセスを確認してみましょう。
はじめは歯の表面を破壊するだけだった虫歯が最終的にどれほど恐ろしい状態をもたらすのか、5つに分けてぜひとも理解してください。
プロセス1:エナメル質が溶かされる
虫歯を放置した場合の1つ目のプロセスは、歯の表面のエナメル質が溶かされた状態です。
この状態では、特に痛みはなく、歯に小さな穴が確認できる程度です。痛みがないため、ほとんどの人はこの状態の虫歯を発見することができないのです。
裏を返すと、この状態の虫歯を発見することができると虫歯による被害をかなり小さなものにおさえることができます。
定期的な歯科検診で歯の状態を確認する習慣をつけておきましょう。
プロセス2:象牙質が溶かされる
虫歯菌がエナメル質を溶かすと、続いて侵されるのは象牙質です。象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、虫歯の進行はこの段階から徐々に早くなっていきます。
そして象牙質が溶かされることで食事などの際にしみるようになります。また軽い痛みも生まれてくる段階です。
そのためこの段階は虫歯に気づくことができます。歯医者が苦手だから…と放置せず、食事がしみるようになった時点ですぐに治療を開始しましょう。
この段階であれば、まだまだ歯を守ることができます。
プロセス3:神経が侵され激痛を発する
象牙質が浸食された痛みを放置していると、虫歯菌がついに神経に到達します。
この段階は激しい痛みを伴うので、誰しも口腔内の異常に気づくでしょう。それこそ咀嚼をしていなくともズキズキと強い痛みを感じる段階です。
多くの人はここで歯医者に行きます。そして治療を開始します。
場合によっては神経を抜く必要がありますが、それでもこの先の2つの段階に比べると、まだとりかえしのつく状態ということができます。
プロセス4:歯がほとんどなくなる
虫歯菌が神経を浸食すると強い痛みを感じますが、ある日を境に痛みが消えます。
それこそ前段階の痛みを痛み止めなどでごまかしていると、痛みが消える日がやってくるのです。しかし勘違いしてはいけません。
これは虫歯が治ったのではなく、痛みを感じる神経が完全に死んだだけです。つまり虫歯が末期まで進行した状態ということができます。
虫歯は自然治癒しないので、神経を殺した後もどんどん進行していきます。そして、ついには歯を原型がなくなるほど溶かし、残るのは歯の根の部分だけになるのです。
ここまで虫歯が進行すると歯が1本消えた状態となります。
治療としては、虫歯菌が侵している根まで引き抜き、人工歯を設置しなければならないでしょう。虫歯を放置することは非常に恐ろしいのだと理解できるはずです。
プロセス5:細菌が全身に広がる
4つ目の段階で歯が溶けて消えるので非常に恐ろしいと感じたはずですが、虫歯菌の浸食は歯を溶かしてもおさまることはありません。
繰り返しますが虫歯は自然治癒しないのです。歯を溶かし終えた虫歯菌は歯茎や顎の骨に侵入し、全身に広がっていきます。
この段階まで進んでしまうと虫歯は口腔内だけの問題ではなくなり、全身の細菌感染の問題となります。そして以下のような病気につながります。
- 顎骨炎
- 肺炎
- 敗血症
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 小児膿疱性乾癬
- アトピー性皮膚炎
文字を見るだけでも恐ろしいような病気が、虫歯菌によって引き起こされる恐れがあるのです。
つまり虫歯を放置すると、最悪の場合、死に至るというわけです。いかがでしょうか?虫歯の恐ろしさが身に染みるのではないでしょうか。
また皮膚の病気が歯の神経異常に基づいて起こっているケースもあります。
皮膚と歯を関連づけて考えることは少ないですが、実際に抜歯することで皮膚の症状が和らぐ例が報告されているのです。
虫歯の早期発見には半年に1度の歯科検診
虫歯を放置すると最悪の場合、死に至ります。虫歯はそれほど恐ろしいものなのです。
こうした虫歯による被害を最小限におさえるためには、定期的に歯科検診を受けて、1つ目もしくは2つ目の段階で虫歯を発見する必要があります。
また現在虫歯治療が完了している人であっても、歯の詰め物や被せ物に異常がないかのチェックを行わなければなりません。
詰め物や被せ物に異常がある場合、そこから最後虫歯が進行する恐れがあるためです。
大人の場合、歯科検診は半年に一度受けるのがおすすめです。これで多くの場合、とりかえしのつかない状況を生む前に虫歯を発見することができます。
先ほども述べたとおり、初期段階の虫歯を自ら発見するのは決して簡単ではありません。そうした意味でもプロの目で定期的に歯の状態を確認してもらう必要があります。
歯に異常を感じていない状態で歯科検診に休日を使うのは面倒でもったいないと感じるかもしれませんが、将来のリスクを回避するためにぜひとも実行してください。
毎日の歯磨きと3か月に1回のクリーニング
虫歯菌は糖を摂取して酸を分泌します。そのため歯磨きと歯医者でのクリーニングで歯に糖がない状態を維持すると虫歯の進行を防げるのです。
私たちは毎日食事をするため、常に歯の表面に糖のない状態を作ることはできません。しかし虫歯菌も1日2日で歯の全てを溶かすものではありません。
そのため毎日の歯磨きと、3か月に1度のクリーニングで虫歯の進行をおさえることができるのです。
これまで歯医者でクリーニングをしてこなかった人も、将来の歯および命を守るために今から実施していきましょう。
クリーニングをすることで口腔内がすっきりするため、気持ちも晴れやかになります。
まとめ
今回の記事では虫歯の恐ろしさを解説しました。
虫歯を放置することで、歯が完全に消えてしまい、さらには命の危険もあるのです。たかが虫歯と馬鹿にできる話ではありません。
虫歯によるとりかえしのつかない被害を防ぐためには以下の3つを頭に入れておいてください。
- 半年に1度の歯科検診を受ける
- 3か月に1度、歯医者でクリーニングを受ける
- 1日3回しっかりと歯を磨く
これを繰り返すことで多くの虫歯を防げます。大人になると、忙しさからついつい虫歯や歯の痛みを放置してしまいます。
しかしそれによって命を落としては元も子もありません。あなたも定期的に歯医者に通い、虫歯を予防・治療していってください。