
「ドリルの音が怖くて歯医者に行けない…」
「静脈麻酔というものがあるらしいけど、痛くないの?」
歯医者での治療には様々な困難があります。特に口の中で回転するドリルの高い音には恐怖心を覚える人も多いでしょう。
子供の頃に怖いのは当然として、大人になっても歯科治療に抵抗のある人は多いのです。
こうした歯科治療へのネガティブなイメージがあると、歯医者に通うことが億劫になります。そして虫歯や歯周病の治療からも遠のいてしまうのですね。
そこで今回の記事では、リラックスした状態で歯科治療を受けられる静脈麻酔について解説します。
静脈麻酔を利用すると、ほとんど眠った状態で歯科治療を終えることができるのです。
静脈麻酔とは
そもそも静脈麻酔とはどのようなものでしょうか。中には初めて聞いた人もいるでしょう。
静脈麻酔とは、点滴のように腕の静脈から麻酔を投与する治療行為です。徐々に麻酔が効くため、うっすらと意識が遠のいていくのです。
全身麻酔とは違う
一般的に麻酔というと、局所麻酔と全身麻酔があります。そして歯科治療では局所麻酔がよくつかわれます。
例えば、抜歯の際など痛みの強い治療を行う際は原則として局所麻酔を使うのですね。
そして外科治療時の大掛かりな手術のときには全身麻酔が使われます。しかし、歯科治療で使われる静脈麻酔は局所麻酔とも全身麻酔とも違います。
静脈麻酔は、あくまで意識をうっすらした状態にするためのものなのです。
意識が薄れることで治療の恐怖心も薄くなる
こうした静脈麻酔は、歯科治療に対する恐怖心を和らげるために用いられます。つまり、麻酔の力で意識がうっすらした状態になるため、過剰な恐怖心が生まれずに済むのですね。
そのため静脈麻酔は、歯科治療に対して過剰な恐怖心を有する患者さんに使われます。
ただし、抜歯などを行う場合は静脈麻酔だけでは痛みをおさえることができないため、局所麻酔が併用されます。静脈麻酔はあくまで歯科治療に伴って発生する恐怖心、音、振動などを感じにくくするためのものなのですね。
静脈麻酔のメリット・デメリット
ここまでの内容で何となく静脈麻酔のイメージが湧いたでしょうか?静脈麻酔は効能を理解して使うことで歯科治療の際の大きな味方になります。
しかし麻酔である以上、一定のリスクが存在するのもまた事実です。ここでは静脈麻酔のメリットとデメリットについて確認してみましょう。
静脈麻酔のメリット
静脈麻酔には以下のメリットが存在します。
- 歯科治療への恐怖心が薄くなる
- 治療時の音や振動が気にならない
- 静脈注射なので痛みがほとんどない
また静脈麻酔には健忘作用(記憶に残りにくくなる)もあるため、治療中の記憶がほとんどないまま治療完了となるケースもあります。
歯医者に対して恐怖心を持つ人が安心して治療を受けられるようになるのが静脈麻酔なのですね。
静脈麻酔のデメリット
一方で静脈麻酔といえども麻酔である以上の以下のようなデメリットがあります。
- 呼吸や血圧に関係するリスクの存在
- すべての歯医者で受けることができるわけではない
麻酔であるため一定のリスクこそありますが、静脈麻酔は全身麻酔よりはリスクも小さくなります。
しかしトラブルに対応できる設備がなければ受けることができないため、すべての歯医者で静脈麻酔を利用できるわけではない点には注意が必要です。
静脈麻酔を利用した治療を希望する場合は、事前に歯医者に確認しておきましょう。
静脈麻酔がオススメな人
記事の前半でも紹介したとおり静脈麻酔は、歯科治療時の恐怖心を和らげてくれます。そのため歯医者に対して、漠然として苦手意識を持っている人におすすめとなります。
こうした漠然として苦手意識は、幼少期の記憶に基づくケースもあります。
つまり幼少期に歯医者で過度に怖い思いをして、それを大人になった今も引きずってしまっているのですね。
漠然とした不安感・苦手意識なので、いざ治療を行ってみると「思ったほど痛くなかった、怖くなかった」という場合もあります。
ただ、漠然とした不安感や苦手意識があると、どうしても歯医者に行く回数が減ります。
それこそ虫歯や歯周病が進行していても放置してしまうのですね。こうした人には静脈麻酔をおすすめしたいと思います。
静脈麻酔で歯科治療が怖くなくなる可能性がある
静脈麻酔には、その場での恐怖心を取り除くほかに長期的にみて歯医者への漠然とした不安感や苦手意識を取り除く効果も期待できます。
つまり静脈麻酔と利用して複数回の治療を行うことで、自然と歯医者へのネガティブなイメージが消えていくのですね。
もちろんすべての人にとって長期的なネガティブイメージの払拭という効果が起こるわけではありませんが、歯医者に苦手意識のある人は、静脈麻酔を利用した治療を検討してみる価値があるはずです。
静脈麻酔を受ける場合は事前に医師と相談
静脈麻酔を利用した歯科治療はどの歯医者でも受けられるわけではありません。デメリットの部分で述べたとおり、トラブルに対応できる設備に加えて、専門的な知識を持った麻酔医が必要になるためです。
そのため、あなたが静脈麻酔を利用した歯科治療を受けたいと考えるのであれば、まずは近隣の歯科医に問合せをしてみましょう。
そして、カウンセリングなどを利用して、あなたの健康状態もチェックしていきます。
このようにして的確な設備と知識があってはじめて静脈麻酔を利用した歯科治療が可能となるのですね。
治療後はタクシーで帰る
静脈麻酔を利用した歯科治療の後にも注意事項は存在します。麻酔の効果で意識がもうろうとしているケースがあるので、治療後に自分で車を運転することは控えてください。
そのためタクシーを利用する、または家族の運転で帰宅するなど注意が必要です。
このように麻酔を利用した治療については、治療後の行動も一部制限されます。専門医としっかり相談し、当日の状況を整えて治療に臨みましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は静脈麻酔を利用した歯科治療について解説しました。今回の記事のポイントは以下のとおりです。
- 静脈麻酔は治療時の恐怖心を和らげる効果が期待できる
- 歯医者が苦手な人にこそ静脈麻酔はおすすめ
- 適切な設備と知識のある歯科医院で静脈麻酔を受けよう
- 当日の流れも含めて事前に専門医と相談してください
静脈麻酔は上手く活用することで、あなたの口腔内を健康に保つことにつながります。
幼少期の記憶などから歯医者に漠然とした不安感や苦手意識を持っている方は、一度専門医と相談してみてください。