
「セラミック矯正を考えているのだけど、寿命はいつまでなの…?」
「セラミック矯正の寿命を延ばすコツとかってあるのかな?手軽にできるものを知りたい」
セラミック矯正は今では歯並びを良くするための代表的な手法です。ワイヤー矯正やマウスピース矯正と違って、1か月~2か月という短期間で矯正を完了することができるので多くの人に選ばれています。
しかしセラミック矯正には寿命が存在します。そのためセラミック矯正を検討している人は、寿命についてもしっかりと理解しておきましょう。
記事の後半ではセラミック矯正の寿命を延ばすコツも紹介していくので確認してみてください。しっかりとケアしていくことでセラミック矯正は最大で20年程度もちます。
しかしケアを怠って虫歯や歯周病を頻発させると、すぐに人工歯を取り換えなければならない事態になる恐れもあるのです。
この記事を読み、寿命の面からセラミック矯正についてじっくりと考えてみてください。
セラミック矯正の寿命は10年前後
はじめにセラミック矯正の寿命について結論を述べると、多くの場合は10年前後となります。ただし一口に「寿命」といっても様々な側面があるため、ここでは細かく確認してみましょう。
セラミック矯正の寿命が尽きるということ
セラミック矯正に使われる人工歯には様々な種類がありますが、オールセラミックの場合の寿命が先ほど述べた10年前後となります。
人工歯に使われるセラミックは経年劣化しにくい材質ですが、10年程度使っていると表面が割れたり、欠けたりすることが多いのです。これが10年という寿命です。
そのため人工歯が割れたりしなければ10年を超えて使うことも不可能ではありません。中には20年を超えてオールセラミックの人工歯を使っている人もいるほどです。
人工歯を長持ちさせるコツは記事の後半で紹介するので、まずは寿命について確認を続けていきましょう。
人工歯の材質による寿命の違い
人工歯の材質と寿命の関係をまとめると以下のようになります。
- オールセラミック:10年前後
- メタルセラミック:15年前後
- ジルコニアセラミック:15年前後
- 硬質レジン前装冠:7年~10年(ただし変色は3年~5年で起こる)
硬質レジン前装冠は保険の適用対象となるものですが、その分ほかの人工歯よりも寿命が短くなる傾向を持ちます。
陶製のセラミックにあわせて金属(メタル)やジルコニアを混同した素材は寿命が長くなりますが、その分オールセラミックほどの透明感はなくなります。
天然歯の寿命が短くなる
またセラミック矯正と寿命の関係でおさえておかなければならないのが、削った後の天然歯の寿命です。
セラミック矯正では元の歯を削って、その上に人工歯を装着します。そして、削られた天然歯は寿命が短くなる恐れがあるのです。
特に神経を抜くと歯の異常を感知しにくくなり、また歯を内部から修復する機能が働きにくくなるため天然歯の寿命がより短くなることがあります。
人工歯にした時点で削った天然歯を日常的に使うことはなくなるのですが、天然歯の寿命が尽きて抜歯となる点に抵抗を覚える場合もあるでしょう。
セラミック矯正の寿命を短くする3つの原因
セラミック矯正と寿命について確認したところで、続いてはセラミック矯正の寿命を短くする3つの原因を紹介します。原因を知ることで、後述する寿命を延ばすコツも理解しやすくなります。
歯に強い力が加わる
1つ目の原因は、人工歯に強い力が加わることです。もちろん転んで歯を打ったような場合もありますが、そうした特殊な状況ではなくとも咀嚼力が人より強かったり、寝ている間の歯ぎしりが原因となったりして人工歯が割れるケースもあります。
特に就寝中の歯ぎしりについては意識的に注意することができないため、マウスピースを着用するといった対策が必要になります。
虫歯と歯周病
虫歯と歯周病もセラミック矯正の寿命を短くする原因となります。人工歯の内部にある天然歯や周囲の歯茎に異常が起こることで、人工歯を支える歯茎が崩れてしまうのが理由です。
いくら歯をセラミック矯正しようと周囲に天然歯や歯茎は残るため、虫歯や歯周病が人工歯の寿命に悪影響を及ぼすのですね。そのため後述するように、ブラッシング、クリーニング、歯科検診は続けなければなりません。
加齢による歯茎の下がり
虫歯や歯周病にならずとも加齢とともに歯茎は痩せて下がっていくことで、人工歯を支えることができなくなるケースがあります。こちらも実質的にセラミック矯正の寿命となります。
歯茎が人工歯を支えられなくなった場合は、新しく人工歯を作って装着する必要があります。つまりセラミック矯正をもう一度おこなうのです。また人工物で土台を作って歯茎を補う場合もあります。
セラミック矯正の寿命を延ばす3つのコツ
セラミック矯正の寿命を短くする原因について確認したところで、ここではセラミック矯正の寿命を延ばすコツを紹介します。人工歯の材質選びから、矯正後の毎日のケアまでしっかりとコツを頭に入れていきましょう。
自分に合った人工歯を選ぶ
はじめに人工歯の材質をあなたに合ったものにすることは寿命を延ばす上で必須です。先ほども述べた通り、強い咀嚼力や歯ぎしりはセラミックを割る原因になるので、それらの心配がある場合はなるべく強度の高い材質を選びましょう。
脆さのあるオールセラミックと比較して耐久性の高い人工歯は以下の2つです。
- メタルセラミック
- ジルコニアセラミック
これらの人工歯は、表面こそセラミックですが内部を金属(メタル)またはジルコニアで補強しているので強度が高くなるのです。しかしメタルセラミックは金属アレルギーのある人には使えないので、その点は注意してください。
このようにしてあなたのクセや体質に合った材質の人工歯を選ぶためには、矯正前に行われる専門医によるカウンセリングが大切になります。そこであなたの自覚しているクセや体質をしっかりと伝えると、適した人工歯を選びやすくなります。
ブラッシングとフロスを徹底する
セラミック矯正をした後の毎日のケアとしては、ブラッシングとデンタルフロスが重要です。特にデンタルフロスは日本で未だ完全に習慣化していないため、注意して行う必要があるでしょう。一般的にブラッシングで落とすことのできる歯垢は約6割と言われています。
ブラッシングに加えてデンタルフロスを行うことで歯垢の約8割~9割を落とすことができるのです。デンタルフロスの効果の高さが理解できますね。歯垢の残り1割については自宅で完全に落とすのが難しいため、次に紹介する歯科医院でのクリーニングで対処していくこととなります。
定期的に歯科医院で検診とクリーニングを受ける
自宅でいくらケアをしても歯垢を完全に落とせず、また虫歯や歯周病のリスクをゼロにすることはできません。そのためセラミック矯正が完了した後も半年に一度は歯科医院を訪れて、クリーニングと歯科検診を受ける必要があります。
これがセラミック矯正の寿命を大きく延ばす可能性を有しているのです。特にクリーニングは半年間で溜まった歯垢が歯石になる前に落とす効果を持つので、口腔内を清潔かつ健康に保つために必須となります。クリーニングは保険適用の対象になる場合が多いので、3,000円程度で受けられます。
虫歯や歯周病を悪化させてセラミック矯正のやり直しになると数十万円の出費が必要となるので、半年に一度のクリーニングおよび歯科検診は受けておくべきでしょう。
セラミック矯正が向く人
ここまで解説してきたセラミック矯正ですが、最後にどのような人に向く手法かを紹介します。あなたにセラミック矯正が合うか否かの参考にしてみてください。
歯並びの悪さがひどくない人
セラミック矯正は元の歯を残したままにするため、あまりに悪い歯並びには対応しにくい矯正方法となります。それこそ歯の位置があまりにおかしな場所にある場合、セラミック矯正よりもワイヤー矯正で少しずつ歯を移動させた方が良いのです。
矯正する力の大きさでは、セラミック矯正よりもワイヤー矯正の方が上なのですね。ちなみにマウスピース矯正も、マウスピースの構造上あまりに悪い歯並びには対応できなくなります。ただし、通常程度の出っ歯や八重歯であればセラミック矯正でも対応できるので、あなたの歯にセラミック矯正が合うか否か、一度専門医と相談してみてください。
1本~3本程度の歯を矯正したい人
セラミック矯正は元の歯を削るため、元の歯の寿命が縮むリスクを有しています。そのため全ての歯をセラミック矯正するのは非常にリスクが高くなります。それこそ元の歯がなくなってしまえば、歯茎の寿命も短くなるので最悪の場合は口腔内の環境が大きく荒れてしまうのですね。
そのためセラミック矯正するのは1本~3本程度にとどめるのがおすすめです。このようにセラミック矯正はあくまでピンポイントの矯正に向くのですね。すべての歯を矯正する必要がある場合は、ワイヤー矯正を選択することをおすすめします。
歯が欠損している人
事故、虫歯・歯周病などにより歯が欠損している人にもセラミック矯正は向きます。もともとセラミック矯正は欠損した歯を補う治療方法として発達してきたので、これこそまさにセラミック矯正本来の利用方法ということができるのですね。
欠損した歯を補う場合は周囲の歯と色合いをあわせることも意識してください。セラミック矯正した歯のみ真っ白だと、口を開いたときに不自然になります。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回はセラミック矯正の寿命について紹介しました。オールセラミックで10年前後、ジルコニアセラミックやメタルセラミックは15年前後。これが寿命の大まかな目安となります。
また削ることで元の歯の寿命が短くなる恐れがある点にも注意してください。
このことから全ての歯をセラミック矯正するのはリスクが高いためおすすめできません。
あまりに歯並びがバラバラの場合はセラミック矯正ではなく、ワイヤー矯正を選択しましょう。
そうした中でセラミック矯正を選んだ場合は、あなたのクセや体質に合わせて人工歯の材質を選び、施術完了後もブラッシングとフロスを毎日行い、半年に一度は歯科検診およびクリーニングを受ける必要があります。
こうした小さな積み重ねが、セラミック矯正の寿命を長くするのです。セラミック矯正は施術完了で終わりではありません。毎日のケアを徹底していきましょう。