
「セラミック矯正は短い期間で綺麗な仕上がりらしいけど、失敗することってあるの?」
「セラミック矯正の失敗例を知りたい。それをふまえて矯正方法を決めたい」
セラミック矯正は元の歯を削って、上から人口歯をかぶせるものです。人口歯をかぶせるため仕上がりが美しく、また元の歯の位置をずらす必要がないため2か月ほどで矯正が完了するというメリットがあります。
しかし失敗したケースを耳にすると、「セラミック矯正は本当に安全なのか」と不安を感じることもあるでしょう。そこで今回の記事では、
- セラミック矯正の5つの失敗例
- 八重歯と出っ歯はセラミック矯正で改善できるのか
- セラミック矯正の寿命
- あなたに合ったセラミック矯正を選ぶポイント
を解説します。失敗例についても正しい知識を手に入れることで、あなたに合ったセラミック矯正を選ぶことができるようになります。
この記事を読み、低いリスクで歯並びを美しくできるようになりましょう。
セラミック矯正の5つの失敗例
それではさっそくセラミック矯正の失敗例について確認していきましょう。ここでは4つのケースを紹介します。それぞれ失敗の原因がどこにあるかも解説するので、あなたが矯正する際に活かしていってください。
失敗例1:美しさだけを求めて、噛み合わせの改善を失念
はじめに紹介するのは「歯の美しさのみを求めて、かみ合わせに問題が残った例」です。
セラミック矯正は仕上がりの美しさに大きな特徴があるため、ついつい美しさだけを求めて選んでしまいます。
しかしセラミック矯正は元の歯の位置をずらすものではないため、極度に歯並びが悪い歯を削って無理に人口歯をかぶせると、最終的にかみ合わせに問題が残る場合があるのです。
このケースの失敗が起こる原因は大きく以下の2点にあります。
- 患者が医師のアドバイスを無視してセラミック矯正に踏み切る
- そもそも医師にセラミック矯正の知識と技術がない
そのためセラミック矯正を行う場合は、審美性のみならずかみ合わせについても気を配ることのできる医師およびクリニックを選ぶ必要があります。
そして、あなたの歯並びが極度に悪くセラミック矯正が向かない場合は、ワイヤー矯正など他の手段を検討してみてください。
失敗例2:歯をどれだけ削るのか確認しない
冒頭でも述べたとおりセラミック矯正では、元の歯を削ります。そして表面を大きく削られた歯は寿命が短くなる恐れがあります。
このポイントを理解しないままセラミック矯正に臨むと、矯正後は美しさに大きな満足を得ることができても、10年~20年後に元の歯に異常が起こる恐れがあります。失敗原因は以下のとおりです。
- 患者がセラミック矯正のリスクを正しく把握していない
- 患者がセラミック矯正のリスクに沿ったケアの知識を有していない
セラミック矯正を選択する場合は、医師からリスクまでしっかりと説明を受けてください。
失敗例3:神経を抜いて歯の寿命が縮まる
歯の寿命との関係では、歯の神経を抜くことも大きく関係します。セラミック矯正では、場合によって歯の神経を抜く必要があります。
これもセラミック矯正のリスクを正しく理解していないことが原因となって起こる失敗です。あなたの歯の状態とあわせて、神経を抜く必要があるのか否かを事前に医師に確認しておきましょう。
失敗例4:歯の色が肌と合っていない
後述しますがセラミック矯正の際に選ぶことのできる人口歯の材質には様々なものがあり、また色合いも細かく指定することができます。
その際ついつい白い歯に憧れて、白みの強い人口歯を選んでしまうことがあります。
しかし、そもそも日本人は肌の色が黄色がかっているため、そこに真っ白は歯があると不自然なのです。そのためいざ矯正が完了して鏡を見ると、「え…歯だけ真っ白で浮いている…」という状態になる恐れがあるのです。
失敗原因は以下のとおりです。
- 自分の肌の色と人口歯の色を合わせることよりも、「白い歯」を優先してしまった
- 人口歯の色について、医師のアドバイスを無視した
不自然に白い歯は、明らかに人口はとわかるもので印象を悪くする恐れがあります。あなたの肌との関係で最も美しく見える人口歯を選びましょう。
失敗例5:定期健診をさぼって、虫歯や歯周病になる
人口歯は素材により特徴が異なりますが、いずれも汚れが付着しにくくなっています。しかし歯自体に汚れは付着せずとも、歯の付け根や歯と歯の間に汚れが溜まると虫歯や歯周病につながる恐れがあります。
そのためセラミック矯正をした後でも3か月から半年に一度はクリニックで定期検診を受けて、口内を綺麗に保つ必要があるのです。このケースの失敗原因は以下のとおりです。
- 人口歯の耐久性を過信し、口内を清潔に保つ努力を怠った
後述する人口歯の寿命は口内の環境によっても変わります。セラミック矯正をして美しい歯を手に入れたからこそ、定期検診が必要になるのですね。
八重歯・出っ歯とセラミック矯正
セラミック矯正の失敗例5つを確認したところで、ここでは八重歯と出っ歯がセラミック矯正に影響を与えるか否かを簡単に説明します。
セラミック矯正は歯1本から利用しやすいため、八重歯や出っ歯のような一部の歯並びの悪さにも相性が良いように思えます。そして、確かにセラミック矯正には八重歯や出っ歯を美しく矯正する効果があります。
しかし注意すべきは、「セラミック矯正には元の歯の確度を変える機能はない」という点です。そのため元の歯を残すセラミック矯正には一定の限界があります。
前歯が歯茎からほぼ垂直に生えているような極度の出っ歯について、セラミック矯正で元の歯を残しながら美しい歯を作るのは難しくなります。
しかし元の歯を抜いた上で人口歯を配置するセラミック矯正ならばどのような八重歯・出っ歯にも対応することができます。専門医としっかりと相談した上で、どのようなセラミック矯正をするか検討してください。
セラミック矯正の寿命は10年
後述する人口歯の材質はいずれも安定性の高い物質であり、数十年使用したとしても物質そのものが劣化することはありません。
しかし強い力が加わったり、元の歯や歯茎に病変が起こったりすることで人口歯自体を再治療しなければならないケースがあります。
こういった複数のリスクを加味すると、セラミック矯正の寿命はおよそ10年といわれています。ただしケアによって寿命を延ばすこともできます。
以下ではセラミック矯正の寿命を短くする原因を解説するので、それを避けて美しい歯並びを長持ちさせましょう。
セラミック矯正の寿命を短くする2つの原因
セラミック矯正の寿命を短くする原因には以下の2つがあります。
- 歯ぎしりのクセ
- 虫歯および歯周病
これを回避していくことがセラミック矯正の寿命を延ばすのです。
歯ぎしりの癖
歯ぎしりをする原因は明確に解明されていませんが、喫煙習慣、飲酒習慣、ストレス、遺伝などが関係しているといわれています。歯ぎしりをすることで人口歯に大きな負担がかかり、割れや欠けにつながるのです。
そのため歯ぎしりのクセがある人は歯科医のアドバイスを受けて対策をとる必要があります。
代表的なものは寝る際にマウスピースを装着するスプリント療法です。これにより人口歯への負担をおさえることができ、セラミック矯正が長持ちするのです。
虫歯および歯周病
虫歯と歯周病もセラミック矯正の寿命を縮めます。もちろん人口歯自体が虫歯や歯周病に侵されることはありませんが、人口歯の中にある元の歯、歯茎は別です。
そして元の歯や歯茎が病気になることで、歯茎が崩れるなど人口歯の位置にも大きな影響を与えるのです。
これを防ぐためには適切なブラッシングとデンタルフロスはもちろんのこと、どうしても発生する磨き残しに対応するために3か月から半年に1度は定期検診を受ける必要があります。
信頼できるクリニックでセラミック矯正を受けて、そこで定期検診を受けることが人口歯の寿命を大きく延ばすのです。
あなたに合ったセラミック矯正を選ぼう
いかがでしょうか、ここまでの解説でセラミック矯正がどのような場合に失敗となるのかイメージできてきたのではないでしょうか。
結局のところ、セラミック矯正という技法そのものに問題があるのではなく、あなたの歯並びに合ったセラミック矯正を選択できず、かつアフターケアが十分にできていない場合に失敗が起こるのです。
ここではあなたに合ったセラミック矯正を選ぶポイントを解説します。
本当に歯を削る必要があるのか
記事の中で繰り返しているとおり、セラミック矯正は元の歯を削って行います。そして元の歯を削ることで歯の寿命が短くなる恐れがあります。
もちろん元の歯を完全に抜いて人口歯を設置するものもあるため、元の歯の寿命が短くなること自体に致命的なデメリットはありません。
しかし、歯並びを少し矯正するために元の歯を削る必要があるか否かは慎重に判断すべきポイントとなります。
歯を削ってセラミック矯正をすべきなのか、それとも歯を削らずに済むワイヤー矯正やマウスピース矯正を行うべきなのかは専門医にしっかりと相談してみてください。
ときには複数のクリニックを回って、あなたの歯並びを矯正するのに最も適した方法が何なのかを複数の視点から検討していく必要もあります。
人口歯の材質について
繰り返しているとおり、セラミック矯正といえども実際に人口歯に使う材質には様々なものがあります。そして、それぞれ特徴が異なるので、あなたの状態に適した材質の人口歯を選ぶことは非常に重要です。
ここでは代表的な以下の5つの材質を比較してみましょう。
材質 | 特徴 | 強度 | 費用 |
セラミック |
|
△ | ○ |
メタルセラミック |
|
○ | ○ |
ハイブリッドセラミック |
|
△ | ○ |
オールセラミック |
|
△ | ○ |
ジルコニアセラミック |
|
◎ | △ |
このようにセラミック矯正といっても、人口歯の材質によって特徴は異なるのです。
オールセラミックは美しい仕上がりになり、費用も安くおさえることができるためよく選ばれますが、欠けやすいなどのデメリットもあるので注意してください。
専門医と相談し、あなたの歯やクセに合った材質の人口歯を選択しましょう。
セラミック矯正をする際はクリニック選びが重要
ここまでみてきたとおり、セラミック矯正で失敗を避けるためにはクリニック選びが重要です。
歯をどこまで削るべきか、あなたに合った人口歯の材質は何なのか、こういった点について技術と実績の高いクリニックは適切なアドバイスをくれます。
クリニックを選ぶ際は以下のポイントに注意しましょう。
- 出っ歯の状態を丁寧に確認してくれる
- 矯正方法の仕組みを丁寧に説明してくれる
- 痛みについても説明がある
- アフターケアの体制が整っている
- あなたの質問に丁寧に答えてくれる
ときには複数のクリニックで相談して、比較をするのも効果的です。また細かなものでも構いませんので、あなたの疑問はすべて専門医にぶつけてみましょう。そすることで信頼できるクリニックを見つける可能性が高まります。
価格から選ぶ有料クリニック
最後に適切なクリニック選びを費用の面から行う方法について解説します。素人の目で技術と実績の高いクリニックを選ぶことは必ずしも簡単ではありませんが、セラミック矯正の価格から過度に悪質なクリニックを見抜くことは可能です。
セラミック矯正は人口歯の材質により価格に幅がありますが、1本あたり100,000円~200,000円が相場となります。そのため、この相場から大きくかけ離れた価格設定のクリニックには一定の注意が必要なのです。
悪質なクリニックの中には集客のために設定した過度に安い価格で杜撰な治療をするものもあり、反対に患者の無知につけ込んで過度に高い価格を請求するものもあります。
そうしたクリニックを避けることは、セラミック矯正のリスクを避けることにつながるため価格相場を知っておく必要性は高いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか、今回はセラミック矯正の失敗例について解説しました。セラミック矯正は短期間で美しい歯並びを手に入れられる点に大きな魅力がありますが、あなたに知識が乏しく、クリニック選びを誤ると失敗するケースがあるのです。
以下は今回の記事のポイントです。
- セラミック矯正は歯を削る必要があり、かみ合わせも考慮する必要がある
- 矯正後の丁寧なブラッシングと3か月から半年に1度の定期検診は非常に重要
- セラミック矯正の寿命は10年ほどだが、歯ぎしりと虫歯・歯周病を防ぐことで延ばせる
- 人口歯は5つの材質からあなたに合ったものを選ぼう
- セラミック矯正1本あたり10万円~20万円から大きく外れるクリニックには注意
このようにセラミック矯正の美しい仕上がりを長期にわたって保つためには、あなたが適切な知識をつけて、あなたに合ったクリニックを選ぶ必要があります。
そうすることでセラミック矯正のメリットを十分に享受することができるのです。